2025/02/27
近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの進化によって、さまざまな業務の効率化が進んでいます。このような状況の中で、AIと人間がどのように役割を分担すればよいのかについて考える機会がありました。
特に参考になったのが、チェスの世界におけるAIの発展です。少し前になりますが1997年に、IBMのスーパーコンピューター、ディープブルーが世界王者のゲイリー・カスパロフを打ち破ったという出来事がありました。ここから得られる示唆は、AIの得意なことと人間の得意なことを上手く分担することで、より高いパフォーマンスを発揮できるという点です。
詳細は RANGE-レンジ-知識の「幅」が最強の武器になる-デイビッド・エプスタイン に書かれています。
チェスにおいては、局所的な短い打ち手の組み合わせの「一手一手」の最適化と、対局全体の「戦略的な流れの把握」の両方が求められます。AIと人間の特徴を考えると、以下のような分担が適していることが分かります。
短期的な「戦術」(各手の最適化)
→ AIが得意。膨大な局面を計算し、最善手を選択できる。その計算能力のおかげで、欠点はない。
長期的な「戦略」(全体の流れの把握)
→ 人間が得意。ゲームの全体像を捉え、方向性を決めることができる。
実際に、チェスの初心者がAIの力を借りることで、長年鍛錬を積んだ世界王者レベルの実力を発揮し、実際の対戦で引き分けになりました。これは、人間が戦略を考え、AIが戦術を実行することで、個々のプレイヤーの能力を大幅に向上させられることを示しています。
この考え方を仕事に当てはめてみると、AIを単に「人の仕事を奪う存在」として捉えるのではなく、どのように役割分担をするかが重要であることが分かります。
例えば、
このように、AIを適切に活用することで、人間はより創造的で戦略的な業務に集中できるようになります。
AIは単に「人間の仕事を奪うもの」ではなく、適切な役割分担をすることで、より大きな成果を生み出すパートナーになり得ます。
チェスの事例から学べるように、「戦術はAI、戦略は人間」という考え方を取り入れることで、仕事の質を向上させることができるでしょう。
これからの時代、AIをどのように活用し、人間がどの役割を担うかを考えることが重要だと感じています。